2023.09.04 Monday

なぜカーボランダム(SiC)棚板のスリットには埋め込み材が入っているの?

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    まず、カーボランダム(SiC)棚板にスリットが入っている理由は、当ブログでも過去にご紹介した通り、ヒートショックによる割れを防止するためです。

     


    スリットの目的についてはこちらの記事も併せてご参照下さい。

    「全国の陶芸家・窯元・陶芸教室様からの質問「そもそもカーボランダム(SiC)棚板のスリット(切込み)はなぜあるの?」」


    今回はよくご質問を頂くスリットに入っている「埋め込み材」の役割についてご紹介します。

     

    カーボランダム(SiC)棚板のオモテ面にはアルミナコーティングが塗布されていますが、これはうどんやパン生地の「打ち粉」と同様に上に乗るものがくっ付くのを防ぐためのものです。
    すなわちこの「打ち粉」であるアルミナコーティング自体がある程度カーボランダム棚板から取れないと意味がありません。
    (ただ、簡単に取れすぎるとアルミナコーティング層がすぐ無くなってしまうので、適度に取れる加減が一つのポイントなのですが)

    このコーティング層から剥離したアルミナコーティングの粒子が、下図のようにスリットの隙間から下段の製品に落ちないようにするのが、「スリット埋め込み材」の役割です。

    ただ、このスリット埋め込み材自体がボロ降りの原因となる場合もあります。

    例えば、埋め込み材がしっかり充填出来ていない場合や、埋め込み材の膨張率がカーボランダム(SiC)棚板とあまり合っていない場合、スリットの断面が滑らか過ぎて埋め込み材の食いつきが悪い場合などです。

    スリット埋め込み材がボロの原因になるケースについてはこちらの記事も併せてご参照下さい。
    「カーボランダム(SiC)棚板スリット埋め込みからボロが落ちる?」

     


    弊社のカーボランダム(SiC)棚板は、このようにアルミナコーティングの剥離の程度を調整したり、スリット埋め込み材がボロにならないように工夫するなど様々なノウハウが詰まった製品です。

     

    ※ビスク製品や無釉のセラミックス製品など、剥離したアルミナコーティング粒子の付着が製品に影響がない場合もあります。

    2022.07.21 Thursday

    SiC(カーボランダム)棚板の割れ方の一例 〜その原因と対策〜(スリット部が三角に割れたのはなぜ?)

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      今回は、下記の写真のような割れ方について考えてみたいと思います。

      ある窯元から回収した割れ板ですが、全てスリットのところが三角に割れています。

       

      こちらの窯元では従来は10mm厚の棚板をご利用でしたが、棚板の軽量化による作業負荷の軽減の観点から段階的に8mm厚に、更にここ数年で6mm厚に入れ替えました。


      棚板は使用回数を重ねるごとに酸化膨張をはじめとするいくつかの要因によって反ってくることがありますが、それに伴ってスリット部分が段差になる場合があります。


       

      反りの程度や反る向き(下向き/上向き)は、焼成条件や積載物の種類、製品の積載方法などによって変わってきます。

       

      こちらの窯元での棚板と支柱の組み方は下の写真の通りです。
      よく見ると支柱がスリットをまたいでいる箇所があります(製品の載せ都合によって変わるそうです)。

       

       

      段差になったスリットをまたいで支柱を置くと下図のように段差の高い方(または低い方)だけに荷重がかかり、その荷重を棚板の圧縮強度ではなく曲げ強度で支える状態になるため、冒頭の写真のように割れてしまうと考えられます。

       

      この棚板は最も薄手の部類の6mm厚で、曲げ強度は10mm厚の約36%、8mm厚の約56%になります。

      (曲げ強度は厚さの2乗に比例します)

       

      薄手になるほど曲げ強度は指数関数的に低下しますので、板の肉薄化による軽量化をお考えの場合は、

      このように支柱の置き方にも留意したほうが良いでしょう。

       

      2022.04.22 Friday

      カーボランダム(SiC)棚板にアルミナコーティングを塗って窯に入れたら棚板が割れた?

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        お客様よりタイトルの通り、

        「カーボランダム(SiC)棚板にアルミナコーティングを塗って窯詰めしたら割れた」

        とのお問合せを頂きました。

         

        詳しく状況を伺うと、経緯は以下の通りでした。
        ・カーボランダム(SiC)棚板にアルミナコーティング剤をハケで塗布した。
        ・約15分扇風機を当てた後、棚板を重ねて壁に立てかけて保管した。
        ・約48時間後に窯詰めに使用した。
        ・600-700℃くらいになったところで炉内で破裂音がし、
        窯起こしの際に割れたり表面がクレーター状にえぐれたようになったカーボランダム(SiC)棚板が何枚か見つかった。

         

        次の写真は表面がえぐれたSiC棚板の様子です。

         

         

         

         

         

        結論から言いますとこれは水蒸気爆発によるものと思われます。

         

        カーボランダム(SiC)棚板は緻密ではなく約6.5%の気孔率(見掛気孔率)があり、水などの液体は多少染み込みます。

        (アルミナコーティング剤の重量の半分程度は水です)

        更に、乾燥が不十分な状態で棚板を重ねることにより水分は表面から蒸発できないまま内部の微細な気孔に浸透してしまいます。

        炉内で熱が加わると棚板に染み込んだ水は水蒸気化し体積は1700倍になります。
        この時の圧力により水蒸気爆発が発生し、棚板が割れたり写真のように表面がえぐれたようにはぜたりします。

         

        従ってカーボランダム(SiC)棚板にアルミナコーティングを塗布した場合は棚板をすぐに重ねずによく乾燥してからお使い下さい。
        また、カーボランダム(SiC)棚板に限らず耐火物は基本的には水濡れは厳禁です。

         

        こちらにも水蒸気爆発に関する記事がありますので参考にご一読ください。
        【カーボランダム(SiC)棚板の水蒸気爆発って何?】

         

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